大賞
(作者名五十音順)

作者:AporiQ.
『-NO AIR LEFT-』
 

作者:すもも
『青に関して』



奨励賞  

作者:浦和みその
『新作マーダーミステリー大賞殺人事件』

株式会社グループSNE
株式会社コザイク
(安田均、秋口ぎぐる、柘植めぐみ、黒田尚吾)

 

●総評

今回は告知から〆切まで半年の期間があり、テストプレイを重ねたレベルの高いものが多かったように思います。たくさんのご応募ありがとうございました。

テーマも時代物からSF、ファンタジーまでバラエティに富んでおり、プレイ人数にも偏りがなく、4人~7人までほぼ均等。しいて言うなら、関東・関西以外の地方在住の方からの応募はかなり少数でした(関東以北はゼロ)。マダミスを発信している者としては、まだまだ普及に力を入れねばと思います。

1回以降、商品化に至った作品はあるものの大賞を出すことができず、もどかしい気持ちでいっぱいでした。ところが今回は逆に、傑出した作品が2つあり、嬉しい一方、どちらを大賞に選ぶか大いに悩みました。その結果、両作品を大賞に選出することとなりました。

毎回のように口にしていますが、われわれが重点を置いているのは「ストーリー」「システム」「ゲーム性」の三要素です。これはおそらく今後も変わることはないでしょう。奥深い物語に浸り、斬新な試みに驚かされ、推理を心から楽しめる――そうした経験を、大賞の2作はもたらしてくれました。もちろん、すべてが完璧というわけではありません。物足りないところ、惜しいところはあります。それでもわたしたちは、「この作品を多くの人たちに遊んでほしい」と思いました。なお、「GM必須」の作品は少なかったものの、GMにしっかりと意味があり、そのGM自身もシナリオを楽しめると感じたものがあり、奨励賞に選出しています。

同じマーダーミステリーでも、人によってどこが好きなのか、なぜ好きなのかは違います。万人に受ける作品というのは難しいと思いますが、自分自身が「ここが面白い」と胸を張って言える作品であれば、誰かに通じます。これからも熱い想いを持ってマーダーミステリーと取り組んでください。


 

●個別講評
『-NO AIR LEFT-』  

とにかく印象に残る作品。マーダーミステリーにはまだいろいろな可能性があるのだなあと思わせてくれました。地図を眺めながら、みんなで行き先を相談して決定、その場所の情報を共有していきます。マダミスらしく各自に秘密があるので、当然ながら行きたくない場所もあり、会話の中でそうした気持ちの揺れ動きが透けて見えるのが面白かったです。テーマは王道SF。専門用語の説明、得点の配分など課題はありますが、文句なしに楽しめました。

『青に関して』  

初の韓国からの応募でしたが、とてもクリアな日本語で書かれており、プレイにはまったく支障がありませんでした。こちらもテーマは近未来SF。冷凍睡眠というモチーフにふさわしく、全体的にセンチメンタルな雰囲気がありますが、一方でコメディっぽさもあって心がなごみました。情報の出方にムラがあり、キャラクターの隠れた関係性がわかりにくい点など修正は必要ですが、完成度は高く、商品化にも問題ないと思います。

『新作マーダーミステリー大賞殺人事件』

タイトルを見たときはネタモノかと身構えましたが、実際にプレイしてみるとしっかりとした推理物になっており、好感が持てました。話の構造も練られており、作者の「やりたいこと」がひしひしと伝わってきました。難を言うなら、殺人事件というより謎解きの要素がかなり強く、プレイヤーを選ぶ向きがあることでしょうか。これからに期待しています。

ミステリアス・トレジャー
代表 水谷剛

 

●総評

まずは、今回も数多くの方に作品をご応募いただき誠にありがとうございました。変化の激しいマーダーミステリー業界ですが、応募してくださる方がいるからこそ、黎明期から現在に至るまで本コンテストを続けられております。

さて、第4回を迎えた新作マーダーミステリー大賞ですが、回を重ねるごとに応募作品のレベルが上がっているように感じます。今回は残念ながら落選となった作品の中には、以前なら何らかの賞を検討する俎上には載っただろうなというものがいくつかありました。第1回以来の大賞作品が2作出たのも、全体的なレベル向上の表れでしょう。

1点、物足りなさを感じているのが、公演向け作品の応募が少ないことです。日本全体で見ればまだまだ公演用作品を体験できる機会自体が少ないため、公演用のシナリオがどのようなものなのかイメージできていない応募者の方も多いのではないかと拝察しております。

今回GM不要として応募された作品の中には、GMがいればこのあたりの処理が楽になるのに、と感じたものがいくつかありました。まだ店舗で公演作品をプレイしたことがない作者の方は、なんとか機会を作ってプレイしていただくと、シナリオ制作の幅が広がるかと思います。


 

●個別講評
『-NO AIR LEFT-』  

酸素が徐々に減少していく宇宙船内というシチュエーションと、ゲーム内の経過時間をアクションポイントで管理するシステムが非常によくマッチしており、臨場感を演出していました。また、移動先を全員の多数決で決定して捜査を進めるというシステムは、選択と葛藤の連続を生み出すほか、それ自体が他人を信頼する/怪しむ材料の一つとなり、マーダーミステリーゲームというジャンルとの相性の良さを感じます。また、直接の評価対象にしたわけではありませんが、ボードのデザインが作りこまれていたのも好印象です。一方で、シナリオ上の全体目標の設定とエンディングがかみ合っていない点や、推理導線の納得感などには、改善の余地がありました。これらの点が改善されると、より面白い作品になるでしょう。

『青に関して』  

韓国からの応募作品です。新作マーダーミステリー大賞としては、海外からの応募は初めてでした。海外からも本コンテストにご注目いただけたことを大変うれしく思います。作品としての評価ポイントは2点で、犯人投票以外にも選択の機会が複数用意されている点、そして一度出た証拠に新たな視点を付け加える工夫です。マーダーミステリーゲームとしてのオーソドックスな面白さを踏襲しつつ、設定の特殊性を生かして新たな体験を生み出しているように感じました。推理導線に難がある点は課題ですが、全体の印象としては大賞に相応しい作品です。なお、大賞の2作品ともSF作品なのは単なる偶然ですが、真新しい仕掛けを作りやすいという点ではコンテスト向きの題材なのかもしれません。


『新作マーダーミステリー大賞殺人事件』

マーダーミステリーの中に結構な分量の謎解きを組み込むという力業が特徴的な作品です。一応はマーダーミステリーの体裁になっているものの、殺人事件に目が向きにくく、全体としては謎解きの印象が強かったという点で、大賞の2作品に比べると評価が劣りました。

それでも、マーダーミステリーと謎解きの掛け算で作品を作り上げた力量は評価に値します。現状は謎解きの存在感が大きいところを、ミステリーを引き立てる程度の存在にし、ミステリー部分の印象が大きくなれば、マーダーミステリーとして評価される作品に仕上がるのではないかと思います。

Rabbithole

酒井りゅうのすけ

 

●総評

まずは今回も多くの作品をご応募いただき、誠にありがとうございました。

私は普段、作品を作る立場の他にも、店舗で公演を行いプレイヤーの皆様に作品を届ける立場としてマーダーミステリーに関わっています。現場で様々なプレイヤーの皆様の反応を見続けてきた人間として、今回の応募作品を見させていただきました。

マーダーミステリーというジャンルは、この数年で大きく変化したと感じています。かつては「マーダーミステリーであること」このラベル自体に新鮮さがあり価値を生み出していました。しかし現在は、非常に多くの作品の中から、自分なりの好みや期待を持って作品を選ぶ時代になっていると言えます。選ぶ際の指標も細分化され、推理を楽しみたい人もいれば、物語に浸りたい人もいる。感情を揺さぶられたい人もいれば、ゲームとしての駆け引きを求める人もいる。そうした環境の中で、今回の審査を終えてみた私が振り返った結果、「作者がプレイヤーに何を体験させたいのか」が明確な作品が強かったというのが印象的です。完成度が高い作品はたくさんあります。しかし、人の記憶に残る作品は必ずしも完成度だけで語られるものではありません。

プレイ後に誰かへ語りたくなる作品。

しばらく経ってからふと思い出す作品。

「あのとき自分はどうするべきだったのだろう」と考え続けてしまう作品。

そうした作品には、作者の強い意志が込められている気がします。今回の受賞作からは、それぞれ異なる形ではありながら、「この’ 体験’ を届けたい」という明確な” 作りはじめのアイディア” を感じました。そのアイディアが持つ熱量が、多くの応募作の中から一歩抜け出した理由の一つだったのではないかと思います。

次回もまた、新しいアイディアから生まれた事件と出会えることを楽しみにしております。


 

●個別講評
『-NO AIR LEFT-』  

マーダーミステリーには様々な種類の緊張感があります。犯人を見つけられないかもしれないという緊張感。秘密が暴かれるのではないかという緊張感。そして、この作品には「〇〇が〇〇してしまう」という緊張感がありました。プレイ中、参加者は常に選択を迫られます。傷つきながらもこの選択は非常に不自由な形で突きつけられました。調べたいことは山ほどあるのに、それを許してくれない状況がある。だからこそ、選べなかったルートへの未練や後悔も含めて体験になりました。事件を解決したかどうか以上に、「あのときの選択を変えれたら」という感覚が強く残る作品でした。

『青に関して』  

プレイ中、何度か立ち止まって考えさせられました。それは推理のためだけではありません。何が起こっているのか?この状況で相手は何を考えているのか?議論だけではなく、自身の思考に没頭する事で没入感が高まったという感覚があります。マーダーミステリーにおいて事件を解決する、あるいは解決させないということは重要な要素です。その為には何が起こっているのか?正確に状況を理解するという基本的な部分にしっかりとアプローチされた作品だったと思います。


『新作マーダーミステリー大賞殺人事件』

タイトルから受ける印象も含めて挑戦的であり、実際にプレイしてみても、大きなチャレンジが仕掛けられていました。私は挑戦する作品が好きです。もちろん今回の挑戦が完全に成功した訳ではないとは思いが、仕掛けられたギミックは非常に良い仕掛けでしたし、こういった挑戦の先にはとても大きな成功が出てくる可能性があるからです。今回の仕掛けを発動させる為には、少し段取りが必要であり、段取り部分の設計には工夫の余地が残っていたかと思います。作者さんの次回作もぜひ遊んでみたいと思わせてくれる作品でした。

大塚 トリックスター
かわぐちまさし

 

●総評

今回もたくさんのご応募ありがとうございました。

今回は全体的に、画一的なフォーマット感は薄れ、独特な作風が増えた印象があります。皆さま、多種多様な作品に触れる機会が増えたのかもしれません。とても嬉しく感じています。

私が、コンテストの審査をするにあたり注意深く見ているところは、この作品は「何をユーザーに提供しようとしているのか」という内容にかかる部分と「提供が実現できるか」という商品化を見据えた部分の2点です。

前者は「ストーリー」や「推理」「ギミック」「体験感」のようなものもひっくるめて、作者が「楽しさ」として表現しようとしている部分が見えるか否か。意外とここが見えてこない作品も多く、もったいなさを感じることがあります。

後者については「新作マーダーミステリー大賞」が、大賞受賞作品について商品化のお約束をしているコンテストとなっているため「大賞を出したが商品化できない」となって、作者様やユーザーの皆さまに残念な想いをさせたくないという理由からです。正直、応募に際して、作者の皆さまがこの部分をそこまで深く考える必要はないとも考えていますが、全く考えられておらず、審査すら難しい作品もちらほらあったりします。審査が正常に行えないのは勿体ないですし、最終的に作品の評価が並んだ際には、ここで差がつくとも思いますので、意識するとよりよい結果に繋がるのではないかと思います。

いずれにせよ、審査員の要求は「贅沢」になっている気もします。それは応募作品や、あるいは、業界全体のレベルの向上によるものかもしれません。

業界の発展を喜ぶと共に、今後もまた楽しい作品との出会いを楽しみにしています。


 

●個別講評
『-NO AIR LEFT-』  

非常にシステムに寄った作風で、ゲーム的な面白さを前面に押し出した印象のある作品です。その独創的な構築には光るものを感じました。一方で、プレイヤーの善性に頼ったシステムになっており、悪さをしようと思えば簡単にゲームが壊れてしまうとも感じました。ゲーム進行のシステム的な担保と、ところどころ不明瞭な「設定」の明確化でとても良くなる作品だと感じます。

『青に関して』  

徐々に明らかになっていく世界観から、最後のオチまでつなげる構成が非常に上手く、ストーリー(世界観)やギミックについても光るものを感じました。システム面や情報の組み方、行動原理の明確化など、多少修正が必要な部分もありましたが、非常にレベルの高い作品です。韓国からの応募ということで、「日本もウカウカしていられないな!」と強く感じました。


『新作マーダーミステリー大賞殺人事件』

色々と意欲的な作品でしたが、ストーリーに組み込まれてはいるものの「謎解き」の印象も強く、「かなり好き嫌いは分かれるだろう」と感じました。キャラクターの設定や、進行の部分に「マーダーミステリー」的な要素として改善の余地もありますが、トリックが非常に良く、真相解明で「なるほどね!」と全プレイヤーが唸る作品でもありました。

受賞作品は

製品化 or 公演化!

マーダーミステリーはオンラインを中心に、シナリオを発表できるチャネルが増え、作品が数多く公開されております。その一方で、オフラインで楽しめる独創的で刺激的な作品は減っているようにも感じています。そこで、今一度、「マーダーミステリー」の原点に立ち、コンテンツのポテンシャルを活かした光る作品との邂逅を求め、第4回新作マーダーミステリー大賞を開催いたします。

第1回新作マーダーミステリー大賞パッケージ部門で大賞を受賞した『羅生門☆プリンシプル』は、運営団体および作者アーキテクト氏による調整を経て『奇想、アムネジア』と改題されました。グループSNE/cosaicよりパッケージ版が販売されているほか、運営団体により公演が行われており、好評を博しております。

第2回新作マーダーミステリー大賞では、大賞作品は選出されなかったものの、奨励賞の『ミッシングファイター』および、ミステリアス・トレジャー賞の『地球より愛をこめて』製品化されました。

第3回新作マーダーミステリー大賞も、大賞作品は選出されなかったものの、グループSNE賞の『戯れに咲くカルマ』は、『ペンタグラムの境域』と改題してパッケージ版が発売中です。

マーダーミステリーとは、「ストーリー」と「システム」から成る「ゲーム性」を持ったコンテンツです。「ストーリー」だけでも「システム」だけでも成立しないため、これら3つの構成要素が適切に制作され、構築されているかがまず評価のポイントとなります。そしてなにより、「プレイして面白い」或いは、「試みとして面白い」ことが求められます。

また、応募に際し満たすべき要素を以下に記載します。これらは、評価基準の一部であり、満たしていれば必ず受賞できるという性質のものではありませんが、基準を満たした作品が評価の対象となります。

応募の際は、内容物の一番うえに目立つようにGMの要・不要を必ず明記してください。

2025年12月31日(当日消印有効)

2026年5月を予定

〒650-0001
兵庫県神戸市中央区加納町2-9-20 3F
株式会社グループSNE「新作マーダーミステリー大賞」係

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