発明的なボードゲーム

このエントリーは「ボドゲ紹介 Advent Calendar 2022」に寄稿させていただいてます。

2011年にいわゆる「ボードゲーム」に触れてから10年ちょっと経ちました。
趣味と言える程度にはたくさんのボードゲームに触れることも出来て、この10年間とても楽しい時を過ごすこともできました。とてもありがたい10年間でした。

……なんか「ボードゲーム辞めます」みたいな出だしになってしまいましたが(汗)
そんなこともなく、これからも楽しいゲームとの出会いにワクワクしている かわぐちです。
こんにちは。

ボードゲームを語るうえで、よく「メカニクス」みたいな話が出てきます。
これは、たとえば「ワーカープレイスメント」だったり「トリックテイキング」「ゴーアウト」「ポイントサラダ」「拡大再生産」などなど。

それぞれが複合的に組まれたゲームもあれば、1つのメカニクスの楽しさを追求したゲームなど、多種多様ですが、そういう枠にとらわれず(あるいは枠の中に納まりつつ)既存のメカニクスでは説明や表現が難しい、個人的に「発明的ボードゲーム」と呼んでいる作品があります。

今回はそんなボードゲームをいくつかピックアップしてご紹介できればなと。

それぞれ「楽しい」はもちろん「新しい」という感覚が強く、深みのある年代物のワインというより、フレッシュなボージョレを堪能するような気持ちで遊べる作品という感じで、そんな風に捉えていただけると嬉しいです。

今や定番、歌詞に合わせて取る骨牌「狩歌」

狩歌を最初に遊んだときは衝撃でした。

正直ただの「骨牌(かるた)」です。しかし、その骨牌に至るまでのプロセスに「歌謡曲」を挿入することで、普通の骨牌とは全く違う「作品」に昇華していると思うのですがいかがでしょうか?

俗に言う「いろは骨牌」は、「犬も歩けば棒に当たる」など、定型の句が用いられ、それはそれで知識や認識の共有が成されていますが、狩歌は、その共通認識を固定化せず、遊ぶメンバーに依存し、流す曲に依存し、認識の共有にはただの言葉という記号だけではなく、その曲を聴いていた時代・年代、個人的な思い出なども一部共有が成されます。

その結果、骨牌あそびにとどまらず「この曲懐かしい!」「この曲好きなんだよね」そんな会話が自然とかわされ、盤外で既に楽しい。終わった後も楽しい。凄いゲームだと思います。

そして極端な話、認識の共有がなくとも知らない曲の歌詞を聴き、瞬発力で骨牌あそびとしても楽しめます。これはこれで楽しい。どのような場面でも大活躍するゲームです。

え?まだ持ってない?そろそろお手元にいかがっすか?

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破くところからゲームです「ビリビリ名探偵」

フリーゼのゲームに「贋金つくり」なんてゲームがあります。

その名の通り贋札作りがテーマのゲームなんですが、ゲームのフレーバーとして「本当にお金のコンポーネントを作る(お金のシートを裁断する)ところからやる」という何ともフリーゼらしいゲームです。

コンポーネントを裁断してしまうわけですから、フリーゼが本当に意図したゲームは最初の1回しかできないという超希少種なわけですが、この行為は所詮「フレーバー」であって、極端な話、裁断の作業がゲーム性に関わるかといえば、答えはNOです。

しかし、今回ご紹介する「ビリビリ名探偵」は切ったコンポーネントがそのままゲーム性に直結します。

自らが破いたその紙の断面が合う組み合わせを捜す。ただそれだけのゲームなんですが、裂け目は狙って同じようにできるわけではなく、意図せずその断面は千差万別。これを神経衰弱的に使うという発想が発明的です。

メカニクスだけで言えば、神経衰弱というより平安時代から遊ばれていた「貝覆い(貝合わせ)」です。古から遊ばれているということから、発明的かどうかは微妙かもしれませんが、決して別の貝とは合うことがない一対の二枚貝を使ったゲームを、「破った紙の断面」で見事に再現する発想はすごいです。

こちらもまだ手に入るので、手に入る内にぜひとも

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”触感”を使うスピードゲーム「タッチイット!」

ボードゲーム(カードゲーム)とはなんでしょうか?
哲学的な感じですが、そんな難しい話ではなく目の前にあるゲームをゲームとしてどのように楽しむか?って話で……やっぱり小難しく聞こえますが、要は、駒があったりチップ(紙幣)があったり、カードがあったり、そういったものを使って、そういったコンポーネントそのものを楽しむというより、システムを遊ぶものかと思います。そう、意外とコンポーネントそのものの「触感」を使って楽しむゲームは少ないのではないでしょうか?

今回紹介する「タッチイット!」は、「触覚全振り」なゲームで、印刷塗料を厚塗りすることでイラストを立体的な凹凸で表現し、それを触ることで何のイラストが描かれているか当てる……という、ただそれだけのゲームです。

「ただそれだけ」と書きましたが、一応ちゃんとゲームとしても練られていて、回答は早い方が有利なため、ゆっくり触って当てるというよりは、最大速度で触って当てるスピードゲームでもあります。

本来ただの装飾であったインクの加工方法(UV加工)をゲームに使う発想が既に発明的ですし、小さなお子様なら触って当てるだけでも楽しい、ゲーマーもスピード要素で駆け引き(答えが分かっていなくても4択当てていく作戦)などもあったりして、結構盛り上がります。

そして何より、凹凸だけで絶妙に描かれているものが分かりますし、絶妙に外しもます。

塩梅が最高ですね。

触って遊ぶゲームは、感染症流行下ではなかなかハードル高いですが、そろそろこういうゲームも楽しまれていると思います。オススメです。

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協力してフォト撮影「フォトムズ」

さあ、ここでスーパー手前味噌タイムの始まりです!

最後のゲームは、お題の被写体を実際にスマホで撮影してクリアを目指す協力ゲーム「フォトムズ」です。

現代日本でボードゲームを嗜む方々であれば(そうじゃなくても)「大抵スマホを持っているだろう」って感じで、スマホに付いているカメラ機能を使ったゲームなども問題なくいつでも遊べるのではないでしょうか。まさに現代のボードゲーム。

カメラ機能を使ったゲームと言えば、「フォトパーティー」や、フォトムズとちょっと似ている後発の「パーフェクトモーメント」などもありますが、フォトムズの優れている点は「協力ゲームであること」だと思っています。

どうしても、協力ゲームじゃないと、被写体の主張や奪い合いなどでギスギスしがちですが(フォトパーティーはそれを上回るパーティー感があるのであまりギスギスしないですけれども)協力ゲームにすることで、バチバチギスギスとしたゲーム性がなくなり、写真を撮るという新規性が際立つ(撮影に集中できる)ゲームになっていると思うのですがいかがでしょうか。

また、プレイヤーそれぞれが目標を持ち、自分の座席からしか撮影できない「=視点の分割」をしたことで、協力プレイ特有の「奉行」が生まれない(他人の視点が分からないため、奉行として仕切ることが出来ない)仕組みになっています。これも非常に目からウロコな奉行解決方法でした。

発明的だなんだといわずとも、とても可愛い&楽しいゲームになっているので、こちらも是非是非是非あそんでやってください!

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そんな感じで、ただ遊ぶだけでも楽しいですが、「楽しい」を超えた「発明的」でチャレンジングなゲームが沢山あると思いますので、見つけて遊んでみてくださいね。

ABOUTこの記事をかいた人

世界のボードゲームが1300種類以上遊べるボードゲームカフェ、東中野「ディアシュピール」のオーナー。ボードゲームに関することならなんでもおまかせ!……かも? 最近は、マーダーミステリーの普及に尽力しています。(「消えたパンツと空飛ぶサカナ」「ロナエナ~厄災のギフト~」など制作)愛称は「かんちょー」